DTM制作歴20年のプロがコンプレッサーの使い方をわかりやすく解説 | DTM FUN LIFE              

【DTM】コンプレッサーの使い方をプロがわかりやすく解説します

HOW TO

顎に手を当てて考え込む男性

コンプレッサーの設定で困っている人「コンプレッサーは音圧をあげるエフェクターということは知っています。

パラメータが多いし、いつも迷いながら使っているので、正しい使い方教えて欲しいです。」

このように悩まれている方向けに、本記事を執筆します。

本記事の信頼性
筆者はDTM実務歴20年ほど。
コンプレッサーには目的が複数あり、最初は混乱するかもしれませんが、本記事ではわかりやすく解説していきます。

本記事を読んでわかること
・コンプレッサーの各パラメータの使い方
・リミッターとの違い

それでは早速いってみましょう!

もくじ
1. DTM必須のコンプレッサーの使い方をわかりやすく解説
 1-1. コンプレッサーの目的
 1-2. コンプレッサーの使い方
2. コンプレッサーとリミッターの使い方の違い
 2-1. リミッターにはレシオがない
 2-2. コンプレッサーとリミッターの使いどころ
3. コンプレッサーの使い方は様々

DTM必須のコンプレッサーの使い方をわかりやすく解説

群青色の筐体のコンプレッサー

コンプレッサーの使用用途は様々でパラメータも多いため、初心者の方はよくわからないまま使われた経験もあるのではないでしょうか。

ここではコンプレッサーの使う目的と、使い方について説明をしていきます。

コンプレッサーの目的

コンプレッサーは主に、以下の目的で使用されます。

  • 音圧を上げる
  • 音色を変える

もともとコンプレッサーは音のピークをおさえて波形全体の音圧を上げるために作られたエフェクターです。

ですが、その副産物である「コンプがかかった音」に音色を変えるためにも使われたりします。

それぞれの用途について、見ていきましょう。

音圧を上げる

例えば以下のような波形のピークをおさえて、全体の音圧を上げるとします。

エディター表示された波形

コンプレッサーをかけることで、以下のようにピークをおさえることができます。

コンプレッサーで圧縮された音波形

そして出力(ゲイン)を調整し、全体の音圧を上げることができます。

出力調整された音波形

処理を行う前と後では、波形の太さが全然違いますよね。

これがコンプレッサーによって音圧を上げることができる原理で、同じ音量でもより迫力のあるサウンドを作ることができます。

ですが、極端につぶしすぎると音ヤセの原因になるので、最初は質感を保ちつつ音圧を上げることを意識した方が良いです。

質感を変える、音色を変える用途については、次の項目で解説します。

音色を変える

コンプレッサーは、音色に色付けをするためにも使用されます。

音色を変える目的であれば、例えば以下のようなアウトボードでビンテージとされているコンプレッサーのプラグインを使うと良いです。

  • Neve 33609
  • Universal Audio 1176
  • Fairchild 660/670

これらのコンプレッサーは各メーカーからモデリングされ、プラグインが多数発売されています。

今回はピアノに、Universal Audio社の UAD2 Neve 33609 のプラグインを使用して未加工の音色と比較してみます。

コンプレッサー未使用

コンプレッサー使用

比較すると、コンプレッサーをかけた方の音色は独特の色付けがされていることが分かります。

コンプレッサーの使い方

ここでは各パラメータの使い方の説明をしていきます。

スレッショルド

圧縮がかかり始める音量値を指定するパラメータです。

波形のピークよりもスレッショルド値が高ければ、コンプレッサーは動作しません。

スレッショルド値に達していない音波形

スレッショルドに音量が達すると圧縮がかかり始めます。

レシオ

どれくらいの割合で圧縮をおこなうか指定するパラメータです。

レシオは、◯:1のように表記され、例えば3:1では スレッショルド値を超えた音が3分の1の音量に圧縮されることを意味します。

圧縮率について図解での説明

以下のような波形を上の図のようにレシオ3:1で圧縮をすると・・

エディター表示された程よい音量の波形

以下の波形のように、スレッショルド値を超えた音が3分の1に圧縮されます。

3分の1の音量に圧縮された音波形

当然ながら、レシオ1:1では圧縮は行われません。

アタック

スレッショルド値を超えた音に、圧縮がかかり始めるまでの時間を設定するパラメータです。

例えば、以下のような波形にアタック値を10msに設定したとします。

エディター表示されたシンセサイザーの波形

スレッショルド値を超えた音が10ms後に圧縮され始めることになり、以下のような波形になります。

アタックが強調された音波形

アタック値を短く調整することで、立ち上がりの鋭いキレキレのスネアドラムの音色を作ることもできますし、逆に長めに調整すればパッドのような柔らかい音色に対して緩やかにコンプレッションすることができます。

積極的な音作り、そっと音圧を上げる効果など調整次第で様々な個性を出すことができます。

リリース

圧縮がかかり始めてから、圧縮が解放されるまでの時間を設定するパラメータです。

例えば以下のような波形にコンプレッサーをかけ、リリース値を50msに設定したとします。

エディター表示された音量が大きめのシンセサイザーの波形

以下の画像のように、圧縮がかかり始めてから50ms後に圧縮から解放されることになります。

コンプレッサーのリリース値で調整されたシンセサイザーの波形

筆者オススメの使い方は、テンポに合わせてリリースを微調整することで躍動感をだすことができます。

あくまでさりげなく聴かせる演出ですが、曲とトラックとの一体感を生み出すことができます。

ニー

音がスレッショルド値に接近した際に、どの程度シビアに圧縮がかかり始めるのかを調整するパラメータです。

急激に圧縮がかかり始めるハードニーと、ゆるやかに圧縮がかかり始めるソフトニーについて、それぞれ説明していきます。

ハードニー設定
ニーをハードに調整した場合、スレッショルド付近の音量変化のカーブは以下のようになり、音がスレッショルド値を超えるまでは圧縮はかかりません。

コンプレッサーのハードニー設定の音量変化

ソフトニー設定
ニーをソフトに調整した場合、スレッショルド付近の音量変化のカーブは以下のようになり、音がスレッショルド値を超える前から緩やかに圧縮がかかり始めます。

コンプレッサーのソフトニー設定の音量変化

積極的な音作りをするのであればハードニーに、緩やかにかけたいのであればソフトニーに調整を行いましょう。

プラグインによっては、「ハード」や「ソフト」と示されていないモノもあります。
そういう場合は以下のように設定します。

・ハード → ニー値を大きめに設定
・ソフト → ニーの値を小さめに設定

ゲイン

コンプレッサーから出力される音量を指定するパラメータです。

音の圧縮により、小さくなった出力を上げる調整を行います。

ポイントは、入力レベルと同じレベルに調整をおこなうことです。

入力時と出力時の音を同じ音量で比較し、どのくらい音圧が上がったのかを確認することができます。

プラグインのメーカーによってパラメータの名前が違ったりしますが、役割は同じです。

コンプレッサーとリミッターの使い方の違い

ラックに設置されたグレーのコンプレッサー

コンプレッサーとリミッターは音圧を上げるという点においても、パラメータの種類も似ているエフェクターです。

では、この2つのエフェクターの違いについて見ていきましょう。

リミッターにはレシオがない

リミッターにはレシオのパラメータがありません。

以下の図のように、スレッショルドを超えた音は全て一定の音量に圧縮されるので、音の変化を伴わずに出力を上げることができます。

ですが、かけ過ぎると曲のダイナミクスがなくなり、音割れも生じてきます。

リミッターの出力についての図解

コンプレッサーとリミッターの使いどころ

コンプレッサーは、スレッショルド値を超えた音に対して圧縮がかかり音量変化を伴います。

ですので、ダイナミクスを保ちつつコンプレッションの質感をだす目的で各トラックの調整や、マスタートラックの調整に向いています。

一方リミッターは、音の質感を変えずに出力を上げることができる性質上、マスタートラックでの全体の音圧調整によく使用されます。

コンプレッサーの使い方は様々

ピークレベルを越すVUメーター

EDMではサイドチェーンを使うことで、グルーヴ感を自然に演出することが定番化していますし、サチュレーション効果を付加することができるアナログコンプレッサーや、ドラムに最適なバスコンプなどなど、使われ方は本当に様々です。

それぞれの役割を組み合わせる目的で、1つの音色に対し数種類のコンプレッサーを使用することも筆者はよくあります。

プラグインはほぼ全てトライアル期間があり、最初は無料で使えたりしますので、色々と試してみるのも面白いですよ。

筆者はプラグインでは飽き足らず実機でも色々試しておりますが、改めてコンプレッサーは奥深いエフェクターであると感じます。