EDMでよく使われる太いキック音色の作り方をプロが伝授します

EDMを作りたい人「EDMで使われているキック音色って、太くて聴いていて気持ちがイイです。
自分が作るEDMでも、そういう音を自在に再現できるようになりたいです。」
自分で作ったEDMのキック音色を、いざ既成のメジャー音源と聞き比べるとその音色の太さに圧倒されることはありませんか?
本記事を読むことで、EDMでよく使われているような重厚なキック音色を自在に作れるようになります!
本記事の信頼性 筆者の実務歴は20年程、EDMもよく制作します。 キック音色のこだわりは強い方ですので、本記事は参考になると思います。
音ネタの選び方からわかりやすく解説しますので、本記事を読んだ後にすぐに実践することができます。
本記事を読んでわかること ・EDMで使われる太いキック音色の作り方 ・オリジナルなキック音色の作り方
EDMの主役はキック音色と言ってもいいくらいです。 さっそく試してみましょう!
もくじ 結論として、EDMのキック音色は以下の工程で作ります。 ① 低域と高域でそれぞれ特徴の近い波形を組み合わせる
② ①のそれぞれのトラックにエフェクター処理をする
③ Busにまとめてコンプレッサーで一体感を出す EDMでよく使われる音色のように太く加工しようとイコライザーやコンプレッサーを単体の音色にかけても、限界がありますよね。 筆者も試行錯誤していた時期がありました。 これらの工程をふめば、お手軽に太いEDMのキック音色が作れます。 順番に説明していきます。 1つの音色を加工しただけでは理想の太いキック音色にならないのは・・、 太いキック音色は、帯域のオイシイ要素を組み合わせて作られているから。 低域の「ドスン!」という音と、高域の「カツッ!」という音を組み合わせて作られているワケです。 それぞれの要素が活かされた音色を、1つずつ選びましょう。 選び方のポイントは、高域のイメージが近いキック音色をまず選び、あとは低域用の音色選びに専念します。 低域側のキック音色については低域の響きがイメージに近いキック音色を選んでいくワケですが・・。 比較してイメージするだけでは低域用の音色を選ぶのが難しい、という方向けにオススメの方法があります。 参考とする曲のキックとリズムのみがなっている箇所で、低域を比較しながら決めます。 何とも強引な方法ですが、筆者はよくこの方法を使っていました。 具体的には、参考とする曲にLow Pass Filterをかけて比較します。 あくまで研究のためにエフェクターを通して確認するだけであり、既存曲をを加工したものを形にするのは著作権に触れる可能性がありますので辞めましょう。 2つの音色が選び終わったら、次はそれぞれ加工をしていきます。 以下のように、低域用のキック音色の余分な超低域をLow Pass Filterでカットし、高域をHigh Pass Filterでカットします。 カーブは 6dB/oct を使います。 低域用キック音色の加工前と加工後の波形を聴き比べてみましょう。 加工前のキック音色 加工後のキック音色 低域のオイシイ部分を抽出するイメージですね。ポイントはカーブを鋭くしたり、高域との分離を狙いすぎないようにします。 もし、この時点で少し低域が足りないな・・、と感じる場合は少しだけ80Hz付近を持ち上げてみても良いでしょう。後々、低域の調整も行いますので、+1dB程度など少しに留めておいた方が良いです。 低域用のキックは一旦置いておき、高域用のキックの加工に移ります。 以下のように高域用のキックはHigh Pass Filterで低域をカットします。 低域用と同じくカーブは 6dB/oct を使います。 低域用キック音色の加工前と加工後の波形を聴き比べてみましょう。 加工前のキック音色 加工後のキック音色 こちらは高域のカタい音を抽出するイメージです。 低域用と高域用の音色がそれぞれ加工できたところで、Busトラックにまとめ、加工を行なっていきます。 低域用と高域用のキックの処理ができたら、それらを1つのBusトラックにまとめましょう。 まとめたら、Busにアナログ系のコンプレッサーをゆるめにかけると2つの波形が馴染むようになります。 Busにまとめ、完成したキック音色を聞いてみましょう。 Busにまとめたキック音色 低域用と高域用のキック音色が違和感なくまとまり、太く聴こえているのが分かると思います。 組み合わせてみたものの、違和感のある仕上がりになった場合はどのように対策をするのかをご紹介します。 低域用と高域用の音色にフィルターをかけ、それぞれカットを行なっていますが、その設定を調整すると改善されることがあります。原因としては、おおよその場合は以下の2つです。 違和感が生じている原因として、2つの音色が分離し過ぎている可能性があます。 接着剤の役割をしている中域をある程度お互いに重ねることにより、音に一体感を出すことができます。 逆に音の相性が悪く、中域で干渉を起こし違和感のある音になる場合があります。そういった場合は、重なっている中域を少しお互いに譲り合うイメージで調整すると良いです。 それでも違和感がなくならない場合は、どちらか、または両方の音ネタを差し替え再調整をするのが一番早い方法です。 さらに、このキック音色を太くするために以下の方法が効果的です。 順番にご紹介していきます。 低域用のキック音色にのみ、ステレオイメージャーで定位感を広げることは効果的です。 かけ過ぎは禁物でして 約30%増程度の調整がオススメです。 サンプルの音色にステレオイメージャーをかけたモノを聴いてみましょう。 左右に良い感じに広がり、迫力が出たのがお分りいただけると思います。 ステレオイメージャーで広げた低域用キックに対し、サイド部分にのみイコライザーで低域を持ち上げることも効果的です。 80〜100Hz付近をわずかに持ち上げるのがポイントです。 この作業は劇的な変化を求めるものではなく、微調整というイメージで作業を行いましょう。理由は、サイド成分を加工し過ぎると逆相が発生するからです。 アナログ系のイコライザーで調整をすると、音がより太くなるのでオススメです。 EDMにおけるキック音色は曲を印象付ける大切な要素です。 ほぼ終始なり続ける音色なので、制作側としてコダワリを魅せるポイントの1つになります。アタック感を出しつつ低域をしっかり出す加工ができれば、”いかにもEDMでオリジナルな”キック音色を作ることができます。 EDMではキック音色が魅力的であると、キック1音だけで間を持たせることが出来たりするんですよね。 オリジナルなキック音色の作り方を試行錯誤しながら、ライブラリのバリエーションを増やしてみてはいかがでしょうか。
1. EDMでよく使われる太いキック音色の作り方
1-1. 低域と高域のそれぞれ特徴の近い波形を組み合わせる
1-2. 低域用と高域用のキックにそれぞれエフェクターをかける
1-3. Busにまとめてコンプレッサーで一体感を出す
1-4. 組み合わせてみたものの違和感がある時は
2. EDMのキック音色をさらに太くするために
2-1. 低域用のキックにステレオイメージャーを使う
2-2. 低域用キックにEQでブースト
3. EDMにおけるキック音色作りはとても重要
EDMでよく使われる太いキック音色の作り方
低域と高域のそれぞれ特徴の近い波形を組み合わせる
低域用と高域用のキックにそれぞれエフェクターをかける
低域用キックの処理
高域用キックの処理
Busにまとめてコンプレッサーで一体感を出す
組み合わせてみたものの違和感がある時は
EDMのキック音色をさらに太くするために
低域用のキックにステレオイメージャーを使う
低域用キックにEQでブースト
EDMにおけるキック音色作りはとても重要