DTMでエフェクトをかける順番は?すぐに理解できます【初心者向け】

DTM初心者「エフェクトをかける順番って決まりはあるのでしょうか?
いつも迷いながらも、自己流でやっています。 正解を教えてください。」
EQとコンプ、どちらを先にかけるべきか・・。
順番に迷いながらエフェクターを挿していませんか? ポイントをおさえれば、迷いはなくなります。
本記事の信頼性 筆者は、音楽制作実務歴20年ほど。 プラグイン、アウトボード問わずエフェクターについて日々研究しています。
それでは、さっそく見ていきましょう。
もくじ
1. DTMでエフェクトをかける順番について解説
1-1. 効果を強調したいエフェクトは最後
1-2. 空間系は積極的にダイレクトで挿す
1-3. エフェクトチェーンの例
2. エフェクトの順番を迷いなく決めるためには
2-1. 手持ちのエフェクターの把握
2-2. エフェクトを挿す理由の確認
3. エフェクトの役割を理解すれば挿す順番は迷わない
DTMでエフェクトをかける順番について解説

DTMでエフェクトを挿す際、以下の2点をおさえましょう。
- 効果を強調したいエフェクトは最後
- 空間系は積極的にダイレクトで挿す
順番に解説していきますね。
効果を強調したいエフェクトは最後
結論として、効果を強調したいエフェクトは最後に挿しましょう。 理由は、最後に挿したエフェクトはチェーンの出口になり、影響が一番でやすい場所だからです。
具体例として、以下のチェーンはエフェクターは同じでも効果が変わります。
① コンプレッサー → EQ ② EQ → コンプレッサー
①はコンプ感は残しつつも、EQによる調整を優先したいときに使います。 ②は①よりもコンプレッサーの効果を出したいときに使うチェーンです。
このように、効果を強調したいエフェクターは基本的に後に挿した方がよいです。
空間系は積極的にダイレクトで挿す
空間系エフェクトは積極的にダイレクトで挿すようにしましょう。 手間の違いは以下のとおり。
・Busセンドでかける場合 ①Busトラックをつくる ②センドをON ③センド量を調整 ・直挿しの場合 プラグインでセンド量を調整して完了
Busセンドは手間ですよね。ほとんどのプラグインはDRYとWETを調整できる製品がほとんどですので、積極的に直挿しにしましょう。
ちょっとした時短が作業効率につながります。
エフェクトチェーンの例
いくつかエフェクトチェーンの実用例を事例別にご紹介します。
- アナログの質感を出す
- ダイナミクスが大きいトラックの対策
- 逆相が生じているトラックの処理
- モノラルトラックの定位感を広げる
- 他のトラックより輪郭を際立たせる
- 全体をスッキリ聴かせる微調整
- スッキリとした広がりのあるリバーブに調整
順番に解説していきますね。
アナログの質感を出す
① EQ ② コンプレッサー ③ アナログ系EQ
割と利用頻度が多い定番の順番ですね。
慣れないうちは、以下の手順で調整を行うと良いでしょう。
① デジタルEQでブーストとカットの処理を行う ② デジタルEQでブーストした箇所を無効化 ③ デジタルEQでブーストしていた帯域をアナログ系EQでブースト
ブーストをアナログ系EQで行えば、アナログ特有の音の変化が得られます。
ダイナミクスが大きいトラックの対策
① コンプレッサー ② EQ ③ コンプレッサー ④ アナログ系EQ
ダイナミクスが極端に大きいトラックなど、まずコンプレッサーでイメージを固める方法です。
2回目のコンプレッサーはサチュレーション効果を出すために挿しています。
逆相が生じているトラックの処理
① EQ ② コンプレッサー ③ イメージコントローラー ④ ステレオイメージャー ⑤ MS系EQ
ます、イメージコントローラーで逆相を調整。 次に、ステレオイメージャーで再度音像を広げています。
最後のEQはサイド成分のみの調整です。 音像を整えつつ、MIXに馴染むよう調整しています。
一例を紹介しましたが、飛び道具的に空間系やモジュレーション系のエフェクターを使うのも面白いですね。
プラグインが壊れたり誰かから怒られることもないので、積極的に色々試してみると良いです。偶然の産物が良い結果につかがることもありますよ。
モノラルトラックの定位感を広げる
① ステレオイメージャー ② MS系EQ ③ コンプレッサー
元素材がモノラルで音の広がりと分離感をだしたい時に有効です。
サイド成分を調整すると音像の微調整がしやすいので、MS系のEQを使用しています。 元素材がモノラルであっても音を分離しながら定位感を広げることができます。
他のトラックより輪郭を際立たせる
① EQ ② コンプレッサー ③サチュレーター
サチュレーターは倍音を付加し、音の鳴りを豊かにするエフェクターです。 トラックに直挿しでオッケイです。
注意点として、複数のトラックにかけすぎないこと。 複数のトラックにかけると際立たせる効果が薄くなるんですよね。
ですので、メインで聴かせたいトラックに絞ってかけることをおすすめします。
全体をスッキリ聴かせる微調整
①調整済みのリズム、ベース、メロディ、残りのトラックをBusでまとめる ②それぞれEQで調整
Busでトラックをまとめた後のEQの調整がポイントです。
音には基音以外に倍音成分があります。 倍音成分まで意識した調整を行えば、より全体的にスッキリしたミックスになります。
参考以下の記事の「倍音を意識したイコライザーの使い方」の項目で詳しく解説しています。
DTM必須のイコライザーの使い方【5つのステップでOK】 | DTM FUN LIFE
DTMの作業でイコライザーの使い方がわからず、ミックスが進まない。このように悩まれる方は多いのではないでしょうか。本記事では、5つのステップでイコライザーの使い方を覚えることができます。応用知識も解説しているので、DTMユーザーの方はコレを読めばオッケイです。
スッキリとした広がりのあるリバーブに調整
① リバーブ(Busセンド) ② EQ ③ ステレオイメージャー
リバーブはBusセンドにするとEQで調整しやすいです。 リバーブが積極的にEQ調整できる製品であれば直挿しで問題ありません。
原音は加工せず、リバーブ成分のみ低域をHigh Pass Filterや、Low Shelfでカット。
高域を使うトラックが多い場合は、Low Pass Filterで高域を少しカットすれば、リバーブ成分が全体になじみやすくなります。
さらにリバーブにステレオイメージャーをかけて、広がりを出すのもアリです。
参考低域のカット調整の方法は、前項目のリンク「DTM必須のイコライザーの使い方をわかりやすく解説」の記事にまとめてあります。
エフェクトの順番を迷いなく決めるためには

エフェクトのチェーンを迷いなく組むには、以下の2点をおさえましょう。
- 手持ちのエフェクターの把握
- エフェクトを挿す理由の確認
順番に説明していきますね。
手持ちのエフェクターの把握
DAWで使用できるプラグインの機能を、ひと通りチェックしましょう。 メリットとして以下のような発見がありますよ。
- 面倒な作業が1つで済むエフェクター
- 飛び道具に使えるエフェクター
- DAW付属でも品質高いエフェクター
道具の使い方を仕事中にイチイチ調べる職人さんっていないですよね。 ちょっと面倒なんですが、やっておいた方が後々楽になります。
エフェクトを挿す理由の確認
結論として、明確な目的がないままエフェクターを挿すのはやめましょう。 後で修正や調整をする際、厄介な問題が生じやすいです。
良い効果を得られていないエフェクトの設定は、後々の調整を困難にします。
以下のようなノリは要注意です。
- 評判が良いエフェクターなので
- 何となく音が良くなってるかも
- とりあえず挿しておく
目的に合う道具が選べなければ、どんな職人でも良いものを作れません。
何をしたいから何のエフェクトをかけるのか。 常に目的と結果をセットにして明確にしておくと良いです。
迷った場合は、以下のように作業を進めるのが良いですよ。
① 処理前と後の音を必ず聴き比べる ② 変わらない、イマイチな場合はそのエフェクトはかけない
せっかく時間をかけたのに・・という気持ちはサッパリ捨て、音が目標に近づいたか否かで決めることがポイントです。
ルールを事前に決めておくと、判断も速くなり音が破綻することもなくなります。
エフェクトの役割を理解すれば挿す順番は迷わない

エフェクトをかける順番で悩まないようにする為には、自分なりのルーティンを確立しておく事が一番の近道です。
特に初心者の方の場合、定番の使い方を把握することに重きをおいて自己流になりすぎないようにした方がいいですね。
準備として、手持ちのエフェクターをひと通りさわっておきましょう。 手持ちの道具を把握することで、コストパフォーマンスにつながります。
適切なエフェクトチェーンでミックスの質を上げていきましょう。