DTM FUN LIFE Written by nobsin

【DTM】イコライザーの使い方でMIXが決まる件【習得必須です】

HOW TO

曲づくりは楽しいです。ですがミックスの中でも、イコライザーの使い方がイマイチわからないです。調整のやり方を、教えてください。

イコライザー調整は、中でも時間がかかる作業。
ここでMIXが決まる、と言っても良いかもです。

本記事は、使い方にピンときていない方向け。
最後まで読んでいただければ、自分の問題点が見えてくるはずです。

筆者について
音楽制作の実務歴は、20年ほどになります。
筆者も最初のころ、調整はむずかしく感じていました。

本記事を読んでわかること
・イコライザー使いこなす方法
・さらに、もう一歩踏み込んだEQの使い方

それでは、さっそく見ていきましょう。

もくじ
1. 【DTM】イコライザーの使い方でMIXが決まる件【習得必須です】
 1-1. ①イコライザーの種類
 1-2. ②パラメータ
 1-3. ③カーブの種類
 1-4. ④3つの帯域の特徴
 1-5. ⑤調整の実践方法
2. イコライザーの使い方をさらに追求するなら
 2-1. 曲の展開に合わせた調整
 2-2. サイド成分を調整
 2-3. 倍音成分を意識
 2-4. アナログEQを使う
 2-5. 多機能のEQを使う
3.イコライザーのカーブの書き方、一例をご紹介
4.「【DTM】イコライザーの使い方でMIXが決まる件」まとめ

【DTM】イコライザーの使い方でMIXが決まる件【習得必須です】

グレーの筐体のアナログミキサー

まずイコライザーについて、以下の5つをおさえましょう。

  • イコライザーの種類
  • パラメータ
  • カーブの種類
  • 3つの帯域の特徴
  • 実践方法

順番に、解説していきますね。

ポイント①:イコライザーの種類

イコライザーには、以下の2種類があります。

  • グラフィックイコライザー
  • パラメトリックイコライザー

状況に応じて、使い分けます。

グラフィックイコライザー

WAVES社のグラフィックイコライザー

実機は、PA機器として活躍します。
グラフィックイコライザーの特徴は、以下。

・周波数は固定値
・Q(帯域幅)も固定値

パラメータが固定値なので、ねらうポイントをすばやく調整可能。
そういった点で、PAには向いていますよね。

以下の理由で、DTMで使われる頻度は少ない傾向あり。

・直感的にさわれない
・固定値なので融通きかない

実機の特性にこだわるなら、使ってもよいかもですね。
アウトボード感覚で使いたい人にも、おすすめ。

パラメトリックイコライザー

fabfilter社のパラメトリックイコライザーPro Q3

帯域を自由に指定し、カーブを書いて調整します。
DTMでは、パラメトリックイコライザーをメインに使います。

パラメトリックイコライザーの特徴は、以下。

・帯域をさぐりながら調整可
・こまかい調整可
・直感的にカーブをつくり調整可

とにかく、見た目がわかりやすい。
使えるカーブも多いですし、柔軟性がウリのイコライザーです。

ポイント②:パラメータ

各パラメータの役割と、操作のやり方は、以下。

  • Frequency で処理する帯域を指定。
  • Q で帯域幅を変えつつ、
  • GAIN でブースト、カットする量を調整。
  • OUTPUT でINPUTとの音量差を調整。

最後に、INPUTとの音量差をOUTPUTで補てんします。
ここは、差が気になるときだけでも、OK。

バイパス時の音と、比較しやすいよう設けられた、パラメータです。
操作は、ノブを左右に回すだけ。

パラメータの名前は、製品やメーカーによって、多少違うこともあります。
機能は同じなので、ご安心を。

ポイント③:カーブの種類

カーブの種類は、以下の5つ。

  • High Pass Filter
  • Low Shelf
  • Bell
  • High Shelf
  • Low Pass Filter

英語で何やらむずかしそうですが・・。
機能さえおぼえれば良いので、大丈夫。

大工仕事で、職人さんが工具を使いわけますよね。
ああいうイメージです。

たくさんあるんですけど、必ずしも、ぜんぶ使う必要もなし。
必要なものを、必要なぶんだけ、組み合わせて使います。

カーブの特徴を、個別に説明します。

High Pass Filter

イコライザーのHPFカーブ

主な用途
・不要な中低域のカット
・大胆なカット

低域〜中域を、一括してカットするのに使用。
カーブの角度をかえて、調整することも可能。

微調整には、不向きです。

Low Shelf

イコライザーのLow Shelfカーブ

主な用途
・中低域をまとめて調整
・中低域の微調整

大胆にはカットしない、けど微調整するときに使用。
Low Pass Filterと、組み合わせて使うのが、定番。

Bell

イコライザーのBellカーブ

主な用途
・ピンポイントで調整

一番、使われるカーブ。
Qを小さめに設定し、周りへの影響を減らしつつ、ピンポイントで調整可能。

Q値を大きくすれば、フィルターに近い効果も出せます。

High Shelf

イコライザーのHigh Shelfカーブ

主な用途
・中高域をまとめて調整
・高域の微調整

Low Shelfの高域バージョンです。
用途は同じで、高域の微調整に使います。

Low Pass Filterと組み合わせて、こまかい調整も可能。

Low Pass Filter

イコライザーのHPFカーブ

主な用途
・不要な中高域のカット

中高域を、大胆にカットしたいときに使用。
音をこもらせる特殊効果に使われるのは、大定番です。

ポイント④:3つの帯域の特徴

イコライザーでさわる帯域は、以下のように分けられます。
分け方に、ちゃんと決まりがあるわけでは、ないです。

  • 低域 〜200Hz付近
  • 中域 200Hz〜3kHz付近
  • 高域 3kHz〜

各帯域について、解説していきますね。

低域

ドラムのキックやベースが、得意とする帯域。
低域の主役は、この2つの音色、と言っても良いかもですね。

低域は、曲を支える土台のような役わり。
ちゃんと整理できていないと、こもった印象になりやすいです。

低域が不足すると・・
・曲全体がほそく聴こえる
・迫力がなくなる

70〜80Hz以下は超低域と呼ばれ、20〜30Hz付近以下は、人には聴こえません。
「空気で圧を感じる」領域じゃないですかね。

スペクトルアナライザーを使いつつ、調整しましょう。

中域

ギターやボーカル等、音が飽和しやすい帯域です。
なので、処理のタスクが多くなる部分。

中域が不足すると・・
・コードを認識しづらい

中域は、とても音が混み合う帯域。
なので、音をていねいに整理していきましょう。

高域

ハイハットや、アコギのストロークノイズ等、高域が多く含まれます。
音抜けに、直結する帯域です。

高域の調整で、透明感をだしたり、音の輪郭を整えます。

高域が不足すると・・
・こもった印象に
・劣化したような音に

高域は強調しすぎると、どうしてもギラギラしてきます。

原因は、目立たせようとすると音が飽和しやすいから。
音の透明度、輪郭を整えるための調整とおぼえておきましょう。

整えられたら、きわ立たせる配分を考える。
慎重に、整理していきましょう。

ポイント⑤:調整の実践方法

調整の実践方法は以下のとおり。

  • 入力レベルを確認
  • フィルターでカット
  • Bellカーブでカット
  • ブースト

順番に説明していきますね。

入力レベルを確認

EQのINPUTを確認し、レベルがピークに達していないかも確認。
ピークが点灯していたら、音源の出力を下げましょう。

フィルターでカット

フィルターを使い、不要な低域と高域をカットします。
カットのやり方は、以下のとおり。

音色の変化が起こる直前まで、フィルターを動かし、カット

低域のカットを例にあげると、以下のような感じです。

イコライザーで低域を処理する様子

High Pass Filterを使い、不要な低域を探りつつカット。
高域も、Low Pass Filterを使い、同じ手順です。

機械的なカットはNG
これ、絶対です。
機械的にカットすると、以下のような事態に。

・全体的に音がこもっている
・全体的に音が軽すぎる

原因は当然ながら、低域と高域の削りすぎです。
回避策は、以下のとおり。

・Shelfカーブを併用する
・フィルターの使用頻度を減らす

Shelf系は、微調整によく使われます。
フィルターと組み合わて使うと、良いですよ。

Bellカーブでカット

Bellカーブでカットをする手順は、以下のとおり。

・金属音をカット
・かぶる帯域をカット

金属音をカット
耳につく金属音をカットし、聴きやすい音に調整します。

Bellカーブを以下の画像のように、尖った形状にします。
そのまま周波数を左右に動かし、高域周辺をさぐってみましょう。

イコライザーで金属音部分を探っている様子

金属音が強調され、耳につく箇所があれば、Bellカーブを反転させてカットします。
カットする量は、音が変化しない程度で。

かぶる帯域をカット
音がかぶる部分を、カットしていきます。

Bellカーブで、以下のような形をつくり、音のくもりが強調される場所をさぐります。
帯域を、ピンポイントで試聴できるEQを使えば、ラクです。

イコライザーでブーストするポイントを探している様子

音のかぶりを解消すると、スッキリした聴き映えになるはず。
カットする量やカーブの角度は、音の変化を確認しながら調整します。

以下のように、再生する組み合わせを変えつつ、ひたすら調整です。
・調整したい音色と、かぶりが気になる音色
・調整したい音色と、全体

全体とのバランスは、常に気にしておきましょう。
以下は、EQ調整のコツです。

EQの調整は、カットを中心にやりましょう。

ブーストするなら、カットすべきポイントがあるかも。
これくらいの感じですすめるのが、ちょうど良いです。

ブースト

音色が、得意とする帯域をブーストします。
ブーストする周波数の一例は、以下のとおり。

・キック:60〜80Hz
・ハイハット:3k〜5kHz
・ベース:100〜200Hz
・エレキギター:700〜900Hz
・バイオリン:1300〜1900Hz

数値は、音色により変わります。
あくまで、目安としてください。

Bellカーブを、カット時と同様の山の形状にし、ブーストする箇所をさぐります。
音が手前に、距離が近く感じるポイントを、見つけましょう。

見つかったら、カーブの角度を調整しつつ、ブーストする量を調節。
後は、カットとブーストをくり返し、詰めていけばOKです。

帯域が近い音色の対処
ブーストしたい帯域が近い場合、以下の対策をします。

ブーストしつつ、お互い距離を「やや」ずらす

お互いに、少しずつブーストするポイントを遠ざけ、ゆずり合うイメージ。

ずらす距離が、「少し」では済まない場合。
音色か、楽器構成の見直しをおすすめします。

調整だけで何とかしようとすると、遠回りになりやすいです。

イコライザーの使い方をさらに追求するなら

パネル部分が青色のグラフィックイコライザー

さらに、一歩ふみ込んだ調整をするなら、以下をやりましょう。

  • 曲の展開に合わせた調整
  • サイド成分を調整
  • 倍音成分を意識
  • アナログEQを使う
  • 多機能のEQを使う

順番に、解説してきますね。

曲の展開に合わせた調整

曲の展開に合わせ、細かい調整ができれば、ベスト。
例えば、以下のような楽器構成で、展開する曲があったとします。

Aメロ:ドラム・ベース・ギター・ボーカル
Bメロ:シンセ・ボーカル
サビ:ドラム・ベース・ギター・ピアノ・ボーカル

展開すると、楽器構成が変わっていますね。
楽器構成の変化に合わせ、EQの調整も変えます。

帯域の余裕を把握
Bメロで楽器が抜けるので、帯域に余裕ができます。
なので、Aメロでおさえたボーカルの帯域を、見直します。

このとき、極端な調整はNG。つなぎが、不自然になってしまいます。
微調整にとどめておきましょう。

サビでは、新たに楽器が加わるので、再調整をするのがベターです。

サイド成分を調整

音に広がりをだすなら、サイド成分の調整が効果大。
MS対応のイコライザーを使います。

参考EQによるサイド成分の調整方法は、以下の記事の「サイド成分にエフェクトをかける」でくわしく解説しています。ご参考にどうぞ。

倍音成分を意識

倍音成分を意識した調整方法を、ご紹介します。
EQ調整での倍音の考え方は、以下です。

音には基音に加え、倍音成分も含まれるので、倍音による干渉の対策も必要

ですが、倍音は多数混在するため、全て対処するのは、現実的ではありません。
そこで、以下のように対処を絞ります。

① 倍音成分が気になるトラックを、見つける
② 頻繁に使う、ノートの倍音成分をチェック

以下、音名と周波数値の対応表を作ってみました。

音名と周波数値の対応表

例えば、キーがCmの曲で、ベースの倍音成分と調整をするケース。
基音のC2 (65.4Hz)を多用することが予想できます。倍音成分は、以下のとおり。

  • 第2倍音 C3 (130,8Hz)
  • 第3倍音 G3 (196,0Hz)
  • 第4倍音 C4 (261.6Hz)
  • 第5倍音 E4 (329.6Hz)
  • 第6倍音 G4 (415.3Hz)・・・

干渉が気になるトラックで、上記の帯域をチェックすればOKです。
トニックコードを多用する前提ですが、ケースにより扱う周波数を変えてみて下さい。

以下の様なケースで使うと良いです。
・ベースやギターなど、倍音を多く含む楽器
・EQで調整したのに、分離感が足りない
・ボーカルとオケの調整

調整を詰めるときに是非、活用してみて下さい。

アナログEQを使う

アウトボードをモデリングしたプラグインは、積極的な音作りに効果的。
メジャーどころのプラグインは、以下。

  • API 550
  • Neve 1073
  • Pultec EQP-1A / MEQ-5

EQの特性が再現され、太い音をつくりたい時におすすめです。

カットはデジタルEQで、ブーストはアナログEQで行うと音作りしやすい。
各メーカーから、多数発売されているので、チェックしてみて下さいませ。

多機能のEQを使う

多機能のEQを使うと、効率が爆上がりします。
あると便利な機能は、以下のとおり。

  • アナライズ機能
  • MS対応
  • ピンポイント試聴が可能

多機能と聞けば、複雑で使いにくいんじゃ・・って思うかもですが。
イコライザーに関しては、多機能でOK。

スペクトルアナライザーや、MS処理のプラグインを立ち上げる必要が、ありません。
ピンポイント試聴ができると、音のかぶりを見つけるのが楽です。

コスパ高いので、多機能EQを活用してみてください。

筆者はfabfilter社の Pro Q3というEQを使用しています。ご参考にどうぞ。
→fabfilter Pro Q3 の価格をチェック

イコライザーのカーブの書き方、一例をご紹介

イコライザーで実際にかいたカーブの一例を、ご紹介します。

音ネタによって、調整はぜんぜん変わります。
あくまで、参考として下さいませ。

ドラム:キック

イコライザーの画面でキック音色の調整をするためのカーブを書いている様子

超低域をカットしています。
音色によっては処理しないことも、まぁあります。

Low-Shelfで、低域の微調整をしつつ、キックの重心を持ち上げています。
ベースとかぶる部分は、Bellカーブでカット。

キックの高域をややブーストし、アタックを強調しています。

ドラム:スネア

イコライザーの画面でスネア音色の調整をするためのカーブを書いている様子

キックやベースと重なる低域は、積極的にカット。
キックと同じく、ベースとのかぶりをカットしています。

そして、スネアのコシが強調される部分をブースト。
うわものと、かぶる帯域をややおさえています。

高域のジャリっとする部分を、ややカットしています。
音色によっては、やりすぎ注意。

ドラム:ハイハット

イコライザーの画面でハイハット音色の調整をするためのカーブを書いている様子

低域から中域にかけて、積極的にカットしています。
大胆にみえますが、ここはマスキングされやすい部分。

高域で飽和しやすい帯域をおさえつつ、超高域もLow Pass Filterをかけています。
シンセの高域を優先するためですが、この処理も、ケースバイケースです。

ベース

イコライザーの画面でベース音色の調整をするためのカーブを書いている様子

キックと干渉する帯域を調整し、ベース音色の重心をブースト。
高域の飽和しやすい帯域を、大胆にカットしています。

不要な高域を、Low Pass Filterでカット。
ベースでは割と、高域のカットは定番です。

シンセ

イコライザーの画面でシンセ音色の調整をするためのカーブを書いている様子

低域はそれほど含まれない音色なので、まとめてカットしています。
さらに、ベースの帯域をピンポイントでカット。

シンセのコシがでる帯域を、ブーストしています。
透明感を出すために、High Shelfで微調整。

カーブの一例をご紹介しましたが、雰囲気をつかむ程度で、十分。

自分の耳を信じて、実践あるのみ。
本記事で、お伝えした内容を読み返しつつ、手を動かしてみて下さいね。

「【DTM】イコライザーの使い方でMIXが決まる件」まとめ

黄色いテイストでブロック状に表現されたイコライザー表示

本記事のおさらいです。
イコライザーに慣れるなら、以下の5つをおさえましょう。

  • イコライザーの種類
  • パラメータ
  • カーブの種類
  • 3つの帯域の特徴
  • 調整の実践方法

イコライザーは、パラメトリックEQをメインで使います。
直感的でわかりやすいです。

次に実践をとおして、音を整理する感覚にも慣れましょう。
以下も意識できるのが、ベスト。

  • 曲の展開に合わせた調整
  • サイド成分を調整
  • 倍音成分を意識
  • 3つの帯域の特徴
  • 多機能のEQを使う

イコライザーで音をうまく整理できるようになると、最終的に音圧をそれほど上げなくても、音抜けが良い状態でまとまります。

また、帯域を常に気にする習慣がつくので、音色えらびも自然うまくなります。
得られる副産物も多いですし、ここは、ふんばって習得するのが吉です。