DTM FUN LIFE Written by nobsin

【DTM】効率的なミックスのやり方を解説します【これが全てです】

HOW TO

曲はつくれるのですが、ミックスが苦手でDTMが嫌いになりそうです。
ミックスのやり方を、教えてもらえませんか。

DTMの作業の中でも、ミックスは得手不得手がわかれる所。
挫折しやすいところでもあります。

ミックスって、やることが多い。
なので、整理がつかなくなり、作曲に手がつかなくなる・・。

このような方向け。
本記事ではミックスのやり方を、わかりやすく解説していきます。

筆者について
筆者は、音楽制作の実務歴が20年ほど。
筆者もミックスは苦手でしたので、解説には自信ありです。

本記事を読んでわかること
・ミックス作業の全工程
・使うエフェクター

前知識から解説するので、わかりやすい内容になっていると思います。
それでは、早速みていきましょう。

もくじ
1. DTMでミックスをする際の前知識
 1-1. ミックスに必要なもの
 1-2. ミックスで調整するもの
2. ミックスをするための準備
 2-1. ミックス素材の準備
 2-2. リファレンスの準備
 2-3. トラックの整理
 2-4. ザックリした調整
3.【DTM】効率的なミックスのやり方を解説します
 3-1. イコライザー
 3-2. コンプレッサー
 3-3. ステレオエンハンサー
 3-4. 音づくり系エフェクター
 3-5. 空間系エフェクター
 4-6. 全体調整
4.「【DTM】効率的なミックスのやり方を解説」のまとめ

DTMでミックスをする際の前知識

パソコンを机に置き本を読みながら勉強する女性

ミックスとは、以下を目的とし作業をおこないます。

ミックスの目的
・複数のトラックを、1つのステレオ波形にまとめる
・違う環境でも、鳴りの差がでにくいようにする
・聴きやすい鳴りに調整する

世に出ているメジャーな楽曲は、有線やラジオ、イヤホンなど様々な環境でたくさんの人に聴かれています。

なので、制作側が楽曲のイメージを同様に伝えるため、調整する必要があります。
ミックスの手法には、以下の2つがあります。

  • ステムミックス
  • マルチトラックミックス

ステムミックスは、各トラックをいくつかに小分けし、ステレオで書き出してミックスする方法。例えば、以下のように分けます。

ボーカル
うわもの
  キーボード、シンセ、ギター・・など
ベース
ドラム一式
  キック、スネア、ハイハット・・など

一方、マルチトラックミックスするなら、全てのパートを別々に書き出します。
各ミックスのメリット、デメリットは以下。

各ミックスのメリットデメリット
ステムミックス
 メリット :時短でできる
 デメリット:調整の融通がきかない
マルチトラックミックス
 メリット :細かい調整ができる
 デメリット:時間がかかる

ステムミックスは、まとめてミックスをするため、調整の融通は効きません。分け方を細かくすることで、融通は多少は効きやすくなります。

細かく調整したいトラックを、ピンポイントで別にするというのもアリ。外部エフェクターで調整するなら、ステムミックスが向いています。

マルチトラックミックスは、全部バラバラにするので、細かい調整が可能です。
音量や定位、エフェクターの再調整がやり放題。

録音と調整に時間を要しますが、マルチトラックミックスをするのがおすすめ。
本記事では、マルチトラックミックスのやり方を解説します。

ミックスに着手する前に、以下を知っておきましょう。

  • ミックスに必要なもの
  • ミックスで調整するもの

上記を把握すると、作業内容の解説も理解しやすくなりますよ。

ミックスに必要なもの

ミックスに必要なものは、以下。

  • パソコン
  • DAW
  • モニター環境
  • エフェクター

DAWを動かすためには、パソコンが必須。
ミックスだけなら、無料版のDAWでも良いです。

モニター環境
モニター環境は、以下があればベスト。

・モニタースピーカー
・モニターヘッドホン

モニタースピーカーと、モニターヘッドホン。
通常のものとの違いは、音を調整しやすいよう、色付けが極力されない状態でモニターできるようになっています。

ちがう環境で聴いても、なるべく同じバランスになるよう、調整するためのもの。なので、ミックス作業には、スピーカーとヘッドホン、両方使うがおすすめ。

無理なら、ヘッドホンだけでもOKです。

参考ヘッドホンだけでミックスを完結する方法は、以下の記事にまとめています。

参考DAWについては、以下の記事をどうぞ。無料版の紹介もしています。

エフェクター
とりあえずは、以下があればOK。

  • イコライザー
  • コンプレッサー
  • ステレオエンハンサー
  • リミッター

ぶっちゃけ、この辺のエフェクターは買わなくても、DAWに付いています。
結構、みんな品質良いです。

各エフェクターの役割を、ざっくりと。

・イコライザー
  音質を整える
・コンプレッサー
  音圧を整える
・ステレオエンハンサー
  モノラル波形をステレオ化
・リミッター
  曲全体の音圧を上げる

これらを使いつつ、ミックス作業をすすめていきます。

コンプレッサーは、音質を変えるためにも使います。これは、音圧を変えたときに起こる副産物を利用したもの。音質を変える目的なら、後述するアナログコンプレッサーを使うのがおすすめ。

エフェクターは他にもありますが、使うものは人によってわかれるので、一旦共通で使うこれらを覚えておけば、OK。

ミックスで調整するもの

ミックスをする目的は、音を整理し、各トラックを聞き取りやすくすること。
音が整理されていないと、以下の問題が生じます。

・音がうもれる
・全体音量がかせげない

ミックスをしない状態では、何せ音が聴き取りづらいです。
何かと素材として使うのが、難しい。

ですので、曲を作ったらミックスは必須です。
ミックスでは音を整理するため、以下を調整します。

  • ①音量
  • ②音質
  • ③定位

順番に解説します。

①音量の調整

音量を調節する目的と手段は、以下。

目的
・クリップを避ける
・適切な音量で鳴らす
手段
・フェーダー
・コンプレッサー

作り手として、トラックが鳴っていて欲しい適切な音量があるはず。

なので、常に最適な音量感を意識しながら、ミックス作業を進めましょう。
エフェクターで調整したり、定位(パン)をふることで音量感が変わることがあります。
その際、フェーダーで音量を都度調整します。

音がクリップしないよう、音量メーターの6〜7割くらいが最大値になるように。
理由は、以下。

ピークが高すぎると・・
 調整をやり直す運命に
ピークが低すぎると・・
 レンジの狭いミックスになる

ピークを高めに調整した場合。
調整をすすめるうちに、マスタートラックでクリップするようになります。となると、全体音量を下げることになり、調整やりなおしです。

ピークを低くし過ぎの場合。
レンジ幅を活かしきれない、こじんまりとしたミックスになります。また、音量も小さいので、モニターもしにくい。

なので、マスタートラックのピークは「6〜7程度」がベスト。

音量差が大きいトラックには、コンプレッサーを使用します。コンプレッサーの役割は、大きく分けて以下の2つ。

コンプレッサーの役割
・ピークをおさえ、音量を均一化
・音色を変える

ここでは、音のピークをおさえて全体音量の均一化をするために使います。
コンプレッサーで、ある程度音量を整えておくと、音量調整がラクになります。

参考コンプレッサーの使い方について、以下の記事で詳しく解説しています。
参考に、ご覧ください。

②音質の調整

音質を調整する目的は、大きく分けて以下の2つ。

①積極的な音づくり
②音を分離する

積極的な音づくり
エフェクターで音質を変える。
どちらかと言うと、積極的な音づくりがイメージしやすいかもです。

例えば、以下のようなエフェクターでの音色づくり。

・コーラス
・ディストーション
・イコライザー
・コンプレッサー

コーラスは音に厚みを出し、ディストーションは歪みを付加します。
イコライザーは音をたたせたり、こもらせたり。

個性的な音色を演出する目的で、使う。
これが積極的な音づくりを目的とした、使い方です。

音を分離する
周波数を調整し、音のすみ分けを整理します。使うエフェクターは、以下。

イコライザー

ミックス調整では、イコライザーをこちらの目的で使うことの方が、多いです。
以下のような、パラメトリックイコライザーを使います。

Fabfilter社のイコライザープラグインソフト

音の分離ができていないと、音がこもったり、音抜けが悪いミックスになりがち。
イコライザー調整は、ミックスでは一番キモになります。

③定位の調整

定位を調整する目的と手段は、以下。

目的
・音のすみ分けを整理
手段
・パンを調整

イコライザーでも表記した”音のすみ分け”。
ここでは、手法がちょっと違います。

イコライザー
 →周波数を調整
パン
 →音の場所を調整

イコライザーは、エフェクターで周波数を調整して音を整理するのに対し、パンはフェーダーに付いている機能で、場所を左右方向に動かして調整します。

音を整理する方法は「音質を変える」「場所を変える」の2種類。
これらで、音を整理していきます。

定位を調整する方法は、簡単。
フェーダーそば付いてる、PAN(パン)を変えるだけ。

音の場所を左右に動かして、音のすみ分けを整理しましょう。

ミックスをするための準備

たくさんの機材が置かれた黒い質感の音楽スタジオ

ミックスをする為に、以下の素材を準備していきましょう。

  • ミックス素材の準備
  • リファレンスの準備
  • トラックの整理
  • ザックリした調整

順番に解説しますね。

ミックス素材の準備

ミックス作業は、各トラックをバラバラに調整する必要があるため、各トラックをオーディオデータで書き出します。

書き出したら、以下をチェック。

・ノイズ
・逆相

ノイズのチェック
ノイズには、以下の2種類があります。

・プチノイズ
・ヒスノイズ

プチノイズは字のごとく、「プチッ」となるノイズのこと。ケーブルが劣化していたり、接触不良などが考えられます。あと、デジタルシンクエラーがあると、鳴ります。原因を特定して、再録音しましょう。

ヒスノイズ。録音する音量が小さかったりすると、S/N比による「サー」というノイズが目立って聞こえることがあります。出力を上げて録音しなおすと、良いですよ。

この時点で、安易にノイズ除去ソフトを使うのはおすすめしません。

ノイズ発生には、原因があります。オーディオの音ネタ自体に混入していない限りは、ノイズ除去ソフトは極力使わないのが良いです。余計な帯域まで削ってしまうことになるので、音の劣化につながります。

ノイズ除去ソフトは、最後の手段で使いましょう。
以下、最後の手段の事例です。

ノイズ除去ソフトを使うケース
・ノイズが曲にマスキングされない
・コンプレッサーへの影響が大きいレベル
・明らかな違和感

曲にマスキングされる低度のノイズであれば、ノイズの共存もありです。

逆相のチェック
続きまして、逆相のチェックです。

録音したオーディオの、逆相成分を確認します。
起こり得る不都合は、以下。

・音抜けがわるくなる
・他のトラックに悪影響

逆相が多いと、音抜けが悪くなったり、他のトラックに干渉し分離感が悪くなるなど、良いことはないです。ですので、確認して逆相が多いようなら、原因を特定して録音し直しましょう。

逆相チェックにおすすめの、無料プラグインはこちら。

Ozone Imager (iZotope)

確認のやり方なんですけど、以下の感じはアウトです。

iZotope社のOzoneというソフトで逆相が生じている様子

左右に広がって見えるのが、逆相成分。
少なければよいのですが、完全に除去しなくてもOK。たまにチラつくくらいなら、支障なしです。

逆相を除去する方法は、このプラグインに「Width」というパラメータが右側にあるので、ステレオ幅を調整して逆相を除去します。

リファレンスの準備

ミックスの方向性を常に確認するのに、見本にする音源を用意します。

言うまでもなくですが、同じジャンルにします。
リファレンス音源を、オーディオトラックに貼っておきましょう。

クラブサウンドを作るのにジャズをリファレンスに、というのはNG。音の重心の取りかたや、エフェクターの加減も変わってくるからです。

トラックの整理

以下のように、トラックを作っておくと作業しやすいです。

・類似トラック
  かためて並べる
  グループトラックにまとめる
・Busトラックをいくつか
・EQは全トラックに刺す

人によって、やり方は別れます。
迷ったら、上記を参考にしてみてください。

曲を作り始める直前まで、DAWのセッティングをまとめたデータを、テンプレートと呼びます。時短になるので、ジャンルごとにテンプレートを作っておくと、便利。

参考テンプレートについて、以下の記事の冒頭で解説しています。ご参考にどうぞ。

ザックリした調整

大まかにザックリと、以下を調整します。

  • 音量
  • パン

各トラックのフェーダーで、おおまかに音量を調整します。先述したように、マスタートラックの音量ピークを6〜7割にキープします。

パンを動かして、各トラックの音の位置を決めていきましょう。定位を変えることで、音量感が変わったら、都度調整していきます。

イメージに近づける形で、ザックリとした調整にとどめておきましょう。
細かい調整は、後でやります。

場合によってコンプレッサーも
極端に音量差が大きいトラックは、事前にコンプレッサーをかけておくのが良いです。
この時点で、音量をある程度均一化しておくと、ザックリとした調整がしやすいので。

ですが、かけ過ぎは禁物。
ノッペリとした抑揚のないトラックになってしまうので、やり過ぎに注意です。

【DTM】効率的なミックスのやり方を解説します【これが全てです】

スタジオに設置されたミキサーコンソールでミックス作業をする男性

以下の順番で、作業をすすめるとスムーズです。

  • ①低域担当のパート
  • ②中域担当のパート
  • ③高域担当のパート

曲に含まれる周波数成分は、以下のように低域に近づくほど割合が多くなるからです。

低域、中域、高域の割合を表した分布図

なので、土台になる低域から調整をすすめると、スムーズにいきやすいです。
以下、各帯域担当の楽器の一例です。

低域担当
 ドラム、ベース
中域担当
 ギター、ピアノ、パーカッション
高域担当
 ハイハット、シンバル

イメージの固め方は、以下のような感じ。

①低域担当から固める
②リズム隊の質感がわかる
③全体がイメージしやくなる

リズムループを聴いていると、曲のイメージをしやすかったりしますよね。

リズムループだけでそれなりに帯域幅を既に使っているので、全体像がイメージしやすくなるわけです。スペクトルアナライザーを使えば、わかりやすいです。

高域担当の音ネタだけ鳴っていたら、どうでしょうか。
比較すれば、一聴瞭然。なので、低域から手を付けていくのがおすすめです。

次に、調整をする順番を解説します。

① イコライザー
② コンプレッサー
③ ステレオエンハンサー
④ 音づくり系エフェクター
⑤ 空間系エフェクター
⑥ 全体調整

厳密なルールがあるわけではありません。
目的に合わせて順番を変えます。

余分な低域が多く含まれるなら、先にイコライザーで調整をしたほうが、コンプレッサーのかかりは良くなります。コンプをキツめにかけるなら、低域が削れやすいので、後でEQがおすすめ。

音づくり系のエフェクターは、コンプやイコライザーで音の整理をした後がイメージに近づけやすい。空間系も、エフェクト成分のことを考えると、後の方が良いですね。

参考エフェクトをかける順番について、以下の記事で詳しく解説しています。
ご参考に、どうぞ。

それでは、順番にエフェクターの調整方法を解説していきます。

①イコライザー

イコライザーは周波数ごとに音量を調整するエフェクターです。
結果、以下の効果が得られます。

  • 音質を変える
  • 音を分離する

イコライザーが使われる目的は、ほぼ上記の2つ。
これ以外の用途なら、他のエフェクター使った方が早いです。

Low Pass Filterを使って音をこもらせたり、逆にHigh Pass Filterを使って宙に浮いたようなサウンドにしたり。音質を積極的に変えるのにも、イコライザーは効果的。

参考状況に応じたイコライザーの使い方について、さらに詳しく以下の記事にまとめています。あわせて参考にして下さい。

②コンプレッサー

音量差が大きいのでコンプレッサーをかける。
この工程は「ザックリした調整」でご紹介しました。

ここでかけるのは、ちょっと意味合いが変わります。
今回の目的は、音色を変えること。

必須ではありませんし、慣れないうちはやらなくてOK。
音色にバリエーションを出すのに、使うと良いです。

それで、使うコンプレッサーなのですが。
アナログコンプレッサーをモデリングしたプラグインが、おすすめ。

  • NEVE 33609
  • UNIVERSAL AUDIO 1176LN
  • Fairchild 660&670

このあたりが王道。
各社からプラグインがでていますし、DAWによっては標準で付いてます。

パラメーターは先ほど解説したものと、ほぼ同様です。
ものによっては、スレッショルドが固定値のモデルもあります。

この中ですと、1176LNがそうですね。
スレッショルド値が固定されており、INPUTの音量に応じて圧縮されます。

アナログアウトボードのコンプレッサーの挙動を説明した図

アナログ系のコンプを使うと、音色の変化が得られやすいです。
モデルによって音色が変わるので、色々と試してみるのも面白いですよ。

アナログ系コンプでも音のダイナミクスを平均化したり、音の立ち上がりを付けたりといった使い方ももちろん、可能。

③ステレオエンハンサー

ステレオエンハンサーは音像を広げ、ステレオ効果をだすためのエフェクター。
モノラル波形はステレオに、ステレオ波形なら更に、定位の幅を広げられます。

必須のエフェクターではないです。
割と最近ではよく使われているので、紹介しておきますね。

操作は超簡単、ステレオ幅を変えるだけ。
ですが、やりすぎは禁物。

ステレオエンハンサーの注意点
・逆相が発生
・音に芯がなくなる

聴き映えしますし、お手軽なので多用してしまいがちになりますが、ここはリファレンスを聴きつつ、慎重に調整したいところ。

逆相が出過ぎると、音の干渉が生じミックスに悪影響がでます。
多用すると音に芯がなくなり、薄いミックスになってしまいます。

程よく使えば、割と今っぽいミックスになるので、ミックスのプロセスに入れておくと良いですよ。

参考以下の記事でステレオエンハンサーの紹介をしています。宜しければご覧ください。

④音づくり系エフェクター

積極的な音づくりに最適なエフェクターは、大きく分けて2種類。
音のイメージを、大きくかえる加工をするのに向いています。

  • モジュレーション系
  • 歪み系

それぞれ、解説していきます。

モジュレーション系

モジュレーション系エフェクターは、変調信号を使って入力音をゆらしたり、うねらせる効果をだすもの。DAWに標準で、付属されることも多いです。

コンプレッサーやイコライザーの音づくりと違い、原型をとどめない加工も可能です。種類は以下。

・コーラス
・フランジャー
・フェイザー
・トレモロ
・リングモジュレーター

他にも色々あるのですが、代表的なエフェクターは上記のような感じ。
順番に解説していきますね。

コーラス

Steinberg社のエフェクター「コーラス」

単音を、広がりと厚みのある音色に変化させます。
音源やシンセで、ディチューン効果を出した時のような効果が得られます。

同じ波形を2つならべ、片方をちょっと前後にズラすと音が厚くなりますよね。
それに音を揺らす作用を加えたものが、コーラス。

ボーカルのコーラスパートにかけて、ダブリングっぽく聴かせることもできます。

フランジャー

Steinberg社のエフェクター「フランジャー」

ジェット音のように、音をうねらせる加工ができます。
「シュワァ〜」というギターの音は、フランジャーで加工した音。

原音のディレイ成分にエフェクトをかけ、ミックスして出力されます。
インパクトが出せるので、飛び道具的に使うのがおすすめ。

フェイザー

Steinberg社のエフェクター「フェイザー」

コーラスとフランジャーを、かけ合わせたような音色になります。
原音の位相をずらした音を、重ねて出力します。

原音との遅延がないので「キレをだしつつも、音をうねらせたい時」に使います。
こちらもギターで使われるのを、よく見かけますね。

トレモロ

Steinberg社のエフェクター「トレモロ」

音量を周期的に変えることで、波がかったような効果をだします。
弦楽器のトレモロ奏法も有名。

要は、おなじ音を反復させる効果を出せるということです。
使うなら、効果を実感しやすいロングトーンで。

リングモジュレーター

Steinberg社のエフェクター「リングモジュレーター」

入力音と別の波形との和分と差分から、別の波形を作り出すエフェクターです。
非整数次倍音が含まれる音、金属的な音に変化させるのが得意。

わかりやすく言うと「入力音の情報だけで、全く違う音色に変えてしまうエフェクター。割ととんがった音が得意です。」ということ。

想定外の産物的な音色をつくりやすいので、アイデア出しに使うのも良いですね。

歪み系

歪み系エフェクターは、以下の2種類に分かれます。

  • ディストーション
  • サチュレーター

使う目的が異なっておりまして、サチュレーターは倍音を付加することで、音に張りを与えるもの。波形単体、またはマスタリングにも使われます。

派手に音を加工するためには使われないので、ご注意を。

積極的な音づくりなら、ディストーションを使います。
こちらも、DAWに付いてくることが多いです。

Steinberg社のエフェクター「ディストーション」

ギターにディストーションをかけるのは有名ですが、同じように、声や楽器など歪ませる加工をするのに使います。

無線っぽい音声に加工するときには、必須。

⑤空間系エフェクター

空間系エフェクターには、以下の種類があります。

  • リバーブ
  • ディレイ

使われる目的は、以下。

・広がりをだす
・奥行きをだす
・全体になじませる

2つとも、上記の目的で使用されます。

リバーブやディレイで音に広がりや奥行きをだすと、他のトラックとの接着剤的な役割になり、全体になじんでいくのがわかって頂けるかと思います。

使うと、変化もわかりやすく気持ちが良いのですが、使いすぎは禁物です。
理由は、以下。

・エフェクト成分が干渉を引き起こす
・原音がぼやける

かけ過ぎると、当然エフェクト成分の音量が大きくなります。
そうすると、エフェクト成分が他のトラックと、かぶりやすくなるんですね。

結果、他のトラックの音抜けが悪くなったり、原音がぼやけてしまったり。
あまり良いことはありません。

ですので、使い過ぎには要注意。
それでは、各エフェクターについて解説しますね。

リバーブ

WAVES社のエフェクター「リバーブ」

リバーブは音に残響を与え、空間の広さをシミュレートするエフェクター。
パラメーターは以下を押さえておけばオッケイ。

・Decay Time
・Size
・Predelay
・EQ
・Mix

それぞれ、解説していきます。

Decay Time
残響の長さを指定するパラメーターです。
Decay、Reverb Timeなど、メーカーにより表記は多少異なります。

短くサッパリとした残響にするか、長く深みのある残響にするか。
実際さわってもらえば分かりますが、リバーブの中でもイメージをつかみやすいパラメーターです。

パラメーターを増減しながら、心地よい塩梅に調節する感じで良いかと。
かけ過ぎはお風呂場みたいになるので、注意しましょう。

Size
シミュレートする空間の広さを指定するパラメーターです。
メーカーにより「Hall」や「Room」など、あらかじめ設定された値から選択します。

Sizeは空間の広さを変えることで、残響の奥行きを調節するイメージです。
Decay Timeと合わせて調節し、「どのような空間の残響なのか」を決めていきます。

Predelay
初期反射が発音されるまでの時間を調整するパラメーターです。
初期反射音が遅いほど、部屋の壁までの距離が長くなるので、大きな空間で鳴る設定になります。

長く設定すれば、原音のアタック感を確保できる効果もあり。
極端な値にすると、サイドチェーンのようなかけ方も可能。

EQ
残響成分にかけるイコライザーです。
リバーブを使うと、どうしても低域が大きくなります。

ですので、イコライザーを使って調整は必須。
細かくEQでエディットするなら、使用しなくてもOK。

Mix
空間系エフェクターを使う時、以下のやり方があります。

  • トラックに直接インサート
  • Busトラックにセンド

Busトラックを別途つくってセンドする方法もありますが、トラックをつくる手間が増えるので、直接インサートするやり方がおすすめ。

直接インサートするなら、原音とのバランス調整をプラグイン側でやる必要があります。そこで、このパラメーターを使います。

パソコンのCPU負荷を減らすため、Busトラックで使う時代もありました。今でもBusセンドで使うケースもありますが、メリットは少ないかもです。

トラックに直接インサートで問題なし。

ディレイ

Steinberg社のエフェクター「ディレイ」

ディレイは、よく「やまびこ」に例えられます。まさにその通りでして、音が繰り返し反復されることで奥行きや広がりを出すというもの。

ディレイでおさえておくべきパラメーターは、以下。

・Delay Time
・Feedback
・Filter
・Mix

Delay Time
「やまびこ」が鳴る間隔を調整するパラメーターです。
この「やまびこ」の音を「ディレイ音」と呼びます。

大きくすれば、次の音が鳴るまでの時間が長くなり、間隔が開くことになります。
小さくすれば、その逆ですね。

わりと4分音符や8分音符など、固定長を指定するプラグインが多いです。
曲調に合わせて、直感的に調整します。

Feedback
ディレイ音が繰り返される回数を、設定するパラメーターです。

大きくすれば、特殊効果のような効果が得られます。
曲に馴染ませる目的で使うなら、それほど大きくなくてOK。

ここも割と直感的に操作できます。
曲全体を流しながら、程よい調整をしましょう。

Filter
ディレイ音の質感を調整するパラメーターです。

ディレイ音をどれくらい目立たせるか、フィルターをかけて調整。
ハイパスフィルター、ローパスフィルターで音をこもらせたり、輪郭を際立たせたりします。

曲に馴染ませるなら、ローパスフィルター側に少しづつ動かします。

Mix
リバーブと同様、エフェクト成分の大きさを調整するパラメーターです。

直接インサートするなら、ここで大きさを調整しましょう。
各パラメーターの調整中はやや大きめで、最後に微調整をするとやりやすいです。

⑥全体調整

全トラックの処理がひととおり済んだら、全体調整です。
やることは、以下。

  • 各トラックの音量調整
  • パンの再調整
  • エフェクトの再調整
  • モニター環境で念入りに確認

もうお気づきかもですが、やることは同じだったりします。
ここでは、補足的な微調整をおこないます。

各トラックの音量調整

各トラックの音量調整は、以下の2つの方法でおこないます。

・フェーダーで微調整
・オートメーションを書く

エフェクト処理をすると音量感が変わったりするので、フェーダーで補足的に調整します。以下のケースでは、オートメーションを使います。

・各セクションで音量が変わる
・音量で細かい表情づけ

サビだけちょっと音量を変えたい、ボーカルトラック等に起伏をつけたいときはオートメーションを書きます。以下のような感じです。

DAWでトラックオートメーション機能を使って音量を細かく調整する様子

調整段階で「ちょっとボーカルが平坦だな・・」なんて時は、とても便利。
コンプレッサーで音量を均一化した後、調整するのによく使います。

パンの再調整

各調整をしても周波数のかぶりを解消できないときは、パンを調整しましょう。テレオエンハンサーを使って音像の定位感が変わった場合も、確認しておくのが良いです。

エフェクトの再調整

全体をとおして確認しつつ、各調整の最終確認をします。
気になる点があれば、各エフェクトの再調整をします。

もし大胆な再調整をするなら、紐づく他のトラックの調整も忘れずに。
調整をしてもしっくりこない場合は、音色を差し替えるのも検討しましょう。

調整に手間取る場合は、時短で解決できるケースが多いですよ。

モニター環境で念入りに確認

色々とモニター環境をかえつつ、試聴してみましょう。
以下のような環境で、ひととおりチェックできればベスト。

  • モニタースピーカー
  • モニターヘッドホン
  • イヤホン
  • モノラル環境

モニタースピーカーをメインに、ヘッドホンを補助的に使うのがおすすめ。

イヤホンは安いもので、OK。
聴き手目線に立って、確認する意味合いです。

スピーカー、ヘッドホンを使っているなら、ここで大きい問題はでないはず。

念のため、プラグインでモノラル化して確認もしておきましょう。
当然、モノラル環境で聴く人もいるわけでして、念には念を。

モノラル化で、聴こえ方やバランスが大きく変わる場合。
逆相が悪さをしているケースが多いです。この場合、各トラックの逆相をチェックしていきましょう。

「【DTM】効率的なミックスのやり方を解説します」まとめ

白いヘッドホンを付けて音楽を聴きながらスマートフォンをさわる女性

本記事のおさらいです。
ミックスには、以下の2種類があります。

  • ステムミックス
  • マルチトラックミックス

大まかにミックスしたい場合、アウトボードを使ってミックスした場合はステムミックスがおすすめ。それ以外、細かく調整したいなら、マルチトラックミックスにします。

ミックス作業するなら、以下が最低限必要。

・パソコン
・DAW
・モニター環境
  モニタースピーカー
  モニターヘッドホン・エフェクター
  イコライザー
  コンプレッサー
  リミッター

今っぽいミックスにするなら、ステレオエンハンサーがあれば尚可。
音像を広げるエフェクターです。

以下、ミックス素材の準備をします。

  • ミックス素材の準備
  • リファレンスの準備
  • トラックの整理
  • ザックリした調整

素材に問題があると、ミックスでは対処できないことも多いです。
準備の段階で、できることは最大限やっておくのが吉。

リファレンスは、メジャーで発表されている同じジャンルの既存曲から選定。

音量やパンをざっくりと調整します。
全体のバランスをおおまかに整える程度で。

このとき、マスタートラックのピークが6〜7割程度におさまるようにします。

ミックスを進めるにあたり、以下の順番で調整します。
理由は、使われる帯域の多くを占める低域から調整すると、全体のイメージをつかみやすいからです。

① 低域担当のパート
② 中域担当のパート
③ 高域担当のパート

エフェクターを使った調整の手順は、以下。

① イコライザー
② コンプレッサー
③ ステレオエンハンサー
④ 音づくり系エフェクター
  コーラス
  フランジャー
  トレモロ
  リングモジュレーター
  ディストーション
  サチュレーター
⑤ 空間系エフェクター
  リバーブ
  ディレイ
⑥ 全体調整

全体調整では、各エフェクト処理で音量感が変わってしまった部分などを調整。
また、オートメーションでセクションごとに音量を変えたり、細かい表情づけをするのも効果的です。

周波数帯域のかぶりが解消できてないなら、パンで調整。
調整で手間取るなら、音色の再選定をするのが近道であることが多いです。

・・と、やや長めの記事になってしまいました。
ミックスの作業内容とコツは網羅できていますので、確認しつつ挑戦してみて下さい。

最後に、ひとこと。
「驚くほど簡単にできるミックス方法」なんてものは、絶対ありません。

細かい調整の積み重ねで、仕上げていくもの。
これを頭の隅に入れておくと、途中で萎えずに済みますよ。

あとは、くり返しの実践あるのみです!