【DTM】ミックスに広がりを持たせる方法はこの2つ【これで解決】
こんにちは、ノブシンです。
筆者はDTMを実務として20年ほどになります。 広がりのあるミックスは、音楽を聴かせる上で大切な要素です。
実務を通して色々と試してきました。 その中でも大きな効果が得られる方法をご紹介してきます。
本記事を読んでわかること ・ミックスに広がりを持たせる方法 ・ミックスで見直すべきところ
簡単にできる方法ですので、すぐに実践できますよ。 さっそく見ていきましょう。
DTMでミックスに広がりを持たせる方法はこの2つです

ミックスで広がりを持たせるためにまずする事は、以下のとおり。
- ステレオイメージャーを使う
- サイド成分にエフェクトをかける
順番に解説していきますね。
ステレオイメージャーを使う
一番効果が得られやすい方法は、ステレオイメージャーを使うことです。 ステレオエンハンサーとも呼ばれるエフェクターです。
ステレオイメージャーの機能は以下のとおり。 ・モノラル波形のステレオ化 ・ステレオ波形の音像を広げる
使い方は簡単で音像を広げるパラメーターを上げるだけ。 ですが、ここで注意点です。
音像を広げすぎないようにしましょう。 理由は、逆相が発生するからです。
逆相を巧く扱えば音の分離に貢献しますが、音像を広げすぎることで生じるケースはよろしくありません。
アナライザーの表示で、以下のような感じです。

左右に広がっている成分が逆相で、多く持続して生じている状態です。
逆相が生じるデメリットは以下のとおり。 ・干渉がおこり音がかき消される ・モノラル環境での聴こえ方と差がでやすい
逆相が一時的に生じる程度であれば問題はありません。 ですが、常時表示されるようであれば改善を検討しましょう。
おすすめ無料プラグイン ステレオイメージャーはDAWに付属されていることも多いです。 ですが、筆者は以下の無料プラグインをおすすめします。
下手に有償の製品を買うよりも、見やすくて使い勝手が良いんですよね。 是非、お試しあれ。
サイド成分にエフェクトをかける
サイド成分に以下のエフェクトをかける方法です。
- イコライザー
- コンプレッサー
- サチュレーター
サイド成分にエフェクトをかけると広がりを得やすいです。 モノラル波形は、ステレオイメージャーでステレオ化してからかけましょう。
順番に解説していきますね。
イコライザー
MS対応のイコライザーを使います。 ステレオで既にブーストしている帯域を、サイドで少し補てんするイメージ。
3つのエフェクターの中で最初にイコライザーを検討しましょう。
理由は、音の質感を大きく変えずに調整できるからです。 EQでブーストした後にコンプレッサーを挿せば、ピークもおさえられます。
コンプレッサー
音像を広げる用途では、Busやマスタートラックに使われることが多いです。 マスタリングでもよく使われます。
各トラックに多用し過ぎると、コンプレッサー色(飽和感)が曲全体に充満するようになってしまいます。要注意です。
コンプレッサーをかけるなら、EQで調整後に。
サチュレーター
おなじみ、倍音を付加するエフェクター。 サイド成分にサチュレーターをかけられるリミッターもあります。
コンプレッサーと同じく、イコライザーで対処をした後に検討するのが良いです。 限定して、隠し玉的に使う程度がちょうど良いかもです。
近い距離で聴かせたいトラックか、マスタートラックに使うことが多いですね。 使いすぎるとギラギラするので注意。
空間系エフェクトは慎重に 広がりを持たせる目的で、以下のエフェクトを使うときは要注意です。
- リバーブ
- ディレイ
リバーブはかけすぎると距離が遠く、音がこもりやすくなります。
特に低域〜中域成分が付加され、音の鮮明度が下がりやすいです。 ですので、WET成分は控えめに。
PING PONGディレイで成分を左右に散らすのは効果的ですね。 フィルターを使うなど、干渉の対策をしましょう。
ミックスの広がりを妨げている原因をさがそう

左右の広がりのないミックスになってしまう場合は、以下をチェック。
①音源 ②コンプレッサーでつぶし過ぎ ③イコライザーでカットし過ぎ
順番に解説してきます。
①音源
使っている元ネタ音源が原因になるケースはよくあります。 例えば、以下のような感じです。
・高域に偏りすぎ ・中域足りない ・逆相成分が多い ・個性が強すぎて音色ありきの調整になる
レイヤー用の音色としてなら活用できます。 ですが、単体なら調整を工夫しても良い結果にはほぼなりません。
補正に時間を割くよりも、音色を選び直したほうが断然早いですよ。 時間と手間と結果、どれをとっても圧勝です。
音色を見分けるポイントはクセのある音かどうかで決まる
この一言に尽きると思います。 シンセのプリセットで個性の強い音色を選ぶ際は、要注意です。
イメージと高い精度で合致しない限り、個性の強い音色は避けたほうが無難です。 重厚であるが故に、「良い感じ」に聴こえてしまうんですよね。
結果、音色に周りを合わせる形になりミックスバランスに不都合がでやすくなります。 自分で音色をイチから作るのなら、全然アリです。
②コンプレッサーでつぶしすぎ
コンプレッサーはかけ過ぎると帯域がけずられ音のレンジが狭くなります。 音を太くするはずのエフェクターなのに、本末転倒です。
コンプレッサーを使う目的は複数あり、設定方法も異なります。
参考コンプレッサーの使い方については、以下の記事に詳しくご紹介しています。 ご参考にどうぞ。
DTM制作歴20年のプロがコンプレッサーの使い方をわかりやすく解説 | DTM FUN LIFE
DTM作業でコンプレッサーの使い方を何となく理解したつもりでいませんか?本記事を読むことで、コンプレッサーの各パラメータについて使い方をすべて理解することができ、DTM作業の効率化にもつなげることができます。音を太くしたい方には必見の記事です。
③イコライザーでカットし過ぎ
イコライザーで不要な帯域のカットを意識しすぎるあまり、削りすぎたなんて事もありがちです。
「カットし過ぎ」が起こる主な要因は、以下のとおり。
- Low Pass Filterの設定値が高すぎ
- High Pass Filterの設定値が低すぎ
- Filter使いすぎ
フィルターの使いすぎも、要注意です。 使う場合は、設定値がそれぞれ適切かどうか、いま一度ご確認を。
参考イコライザーの調整方法については、以下の記事で詳しく解説しています。 調整方法に不安を感じる方は、ご覧ください。
DTM必須のイコライザーの使い方【5つのステップでOK】 | DTM FUN LIFE
DTMの作業でイコライザーの使い方がわからず、ミックスが進まない。このように悩まれる方は多いのではないでしょうか。本記事では、5つのステップでイコライザーの使い方を覚えることができます。応用知識も解説しているので、DTMユーザーの方はコレを読めばオッケイです。
ラフミックスに戻って広がり具合を比較するのもアリ

調整を詰めていくと「これで良いのかな・・」と負のループに入ってしまうこともあると思います。そういう時は以下がおすすめ。
最初のラフミックスに立ち返ってみる
上記です。
自分の曲を客観視するのはむずかしいです。 繰り返し聴いていたら、なおさらです。
そういう時には、ラフミックスに立ち返ってみること。
「ラフの方がレンジ広く聴こえる・・!」 できれば起こってほしくないことですが、感覚をリセットするのに最適な方法です。
エフェクターの設定が悪さをしているわけですが、一つ一つ原因を見つけていくしかないです。ノウハウ構築に、必ずつながりますよ。